■構成の近似、音の近似、違い
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この2台の基本構成は非常に近いとも言え出る音も近いと感じます。その近さは6bc8という管から来ていて色鮮やかな音に変化することで、違いはその後が1段の増幅回路となっている436が比較的素直な音に対して12ax7から12bh7という強烈なゲイン回路で倍音変化が多いのが175といった感じです。同時に175回路はNFBも持っておりそこでも音色の調整がされています
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自然で素直な436、強烈で倍音変化の175といった感じです
どちらも色鮮やかになる特徴がありそれは6bc8のおかげです
■VariMuコンプの動作の説明
VariMuコンプは真空管アンプの最終段からコンデンサーを使い少し抜き出しリダクション信号としそのリダクション用シグナルがしきい値を超えた場合にアタックリリース回路からリダクション信号をインプットトランスのセンタータップにマイナスとして流し込むことに拠って真空管に行く前にシグナルを落とします
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ちなみによく聞くのですがVariMu管という管種はありません。50年代に作られた造語です
真空管に行く前の部分にマイナスシグナルが行くので基本的になんでも同様に動きます。ミューという真空管の増幅率が大体15から30近辺が使い勝手が良く増幅グラフも素直な直線のモノが良いです。しかしアンプ初段に適する管であればなんでも良く、双極管である必要もないです。EF86を2本でも実はOKですし、プリ双極管の代表格12AU7とかも非常に上品でよい感じの音になります。初段のチョイスは音色とキャラに大きな影響を与えますので上品な出音になる6386を使うと上品な音を強調するコンプ(アンプ)ができます
双極管以外の例(RCA BA6A)
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■設定方法、使い方
初めてのコンプを用意したときはまずはアンプとしての音を知るのが大切です。可変スレショルドがあれば大き目に設定し、なければリダクションしてしまわない様に入力しコンプのアンプとしての音をまず確認するのが良いかと思います。下記は通常ダイナミクスのそのままの波形、大きい音は大きく小さい音は小さくとても良いダイナミクスで録れていると思います
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その後ゲインを上げてゆきリダクションさせながらDTM上の見えないスレッショルドを図ります
(下図の赤線あたりでリダクションされて波形が変わってきている様に見えます)
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わかりやすくするとスレッショルド以上は叩かれて、スレッショルド以下の赤線部はオリジナルの下記黄色線部より大きくなっています。この部分が音が前に押し出されて聞こえる部分となります
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■掛け録りについて
マイクプリとコンプの出口はLINEインに繋がれるのが基本です
よく聞く質問でプリからコンプへ直撃してる方がノイズが出ますといわれるのですが(誰がどのサイトでこう説明されているのかは不明)マイクプリとコンプを使って掛け録りする場合は2チャンネル使いバーチャルコンソールで繋ぎます。説明するとマイクからマイクプリ>出口を1ch(トラック1)に設定しそのトラックシグナル出力をコンプに通し2chで受ける作業が必要です。
例えば歌をマイクプリに通してch1に録音したとして、そのVoトラックにコンプ単体を使う際にはch1のアウトプットからコンプを通ってch2インプットに入れ録音すると思いますがその1ch目がライブ録音になったと考えれば良いと思います。こうすると合計2トラック必要になりますがDAWはいくらでもトラックが増やせるのでその点は心配ないです。
とにかくいつもマイクプリとコンプの出口はLINEインに繋がれるのが基本でそれをしなければノイズは格段と増えます
アナログコンソール卓とパッチベイを使っていた方なら知っている事ですが99%の方がもうその経験がないので直接つないでしまいノイジーでとってもピーキーなやり直しの効かないコンプの掛かった1トラックが出来てしまうことが多いです。その方法は止めておいて保険の生マイクプリトラックを録っておきましょう。そしてマイクプリとコンプの出口はいつもLINEインに繋ぎ不必要なノイズを避けましょう。あとよく聞かれる ”歌いやすくなるコンプ” というものはありません。録音環境(消音のし過ぎ)やマイク選びやマイキングや本人の練習で改善することがほとんどです